コロナ禍での運動不足がもたらす危険性とは?
こんにちは!
パーソナルトレーナーのけいすけです!
今回はタイトルにもある通り、コロナ禍での運動不足がどのような影響を身体に与えるのかをお伝えしていきます。
その影響は様々ありますが、今回は「椎間板ヘルニア」という疾患をメインにお伝えして行きます。
椎間板ヘルニアは今までも身近に起こり得る疾患でしたが、運動不足が顕著な昨今こそ注意が必要になってきます。
今回は腰椎の構造も一緒にお話していきたいと思います。
[腰椎の構造]
腰椎は5個の椎骨で形成されており、上からL1~5と略されています。腰椎の椎体はより高重量を支える必要があり、その形状も大きくなっていきます。椎弓も強大で、椎孔の形は三角形の形状をしています。
腰椎の横突起の先端部は「肋骨突起」と呼ばれています。腰部に残っている肋骨の痕跡を含んでいるため、長い形状をしているのが特徴です。
本来の横突起は「乳頭突起」と呼ばれており、上関節突起の外側から後方に向かう小さな隆起として残っています。肋骨突起の根部の後面には、下方に向かう「副突起」という小突起があります。これも本来の横突起の一部が変形したものになります。
腰椎の棘突起は幅が広く短い形状になっています。側方から見ると、四角形の板状でほぼ水平方向に後方へ突出しています。骨粗鬆症における椎骨圧迫骨折などの障害も起こりやすい骨になります。
成人では一般的に脊髄はL1とL2の椎間のあたりで終わり、それ以下の髄腔内には末梢神経の集合した馬尾が存在しています。
腰椎は関節面の向きの関係上、回旋可動域が非常に狭い構造をしています。そのため、腰を捻る動作は腰椎にとって構造的なストレスがかかり腰椎の原因にもなります。
[椎間板ヘルニア]
椎体と椎体の間には椎間板が存在しています。椎間板内部にあるゼラチン状の髄核であり、コラーゲンを豊富に含む線維輪などの一部が突出した状態のことをいいます。つまり、椎間板の内部の髄核が脊柱管内に脱出を起こした状態を「椎間板ヘルニア」といいます。
髄核は80%以上が水分で、非常に親水性が高いという特徴を持ちます。立位により圧迫荷重がかかる水分が逃げ、数時間の睡眠により、水分の再吸収され髄核の厚みが回復します。
十分な睡眠をとった朝と一日活動を終えた夜を比較すると、微妙に身長差が生じるのはこのためでもあります。
椎間板水分量は、下位腰椎が最多で次に下位頚椎が多く、胸椎はごく少量になります。
胸椎に少ないのは胸郭との位置関係により、椎体間の可動性が、頚椎や腰椎に比べて少ないためです。
[腰椎下位椎間板ヘルニアの症状]
椎間板ヘルニアによってL4~L5の神経根圧迫により、下肢痛が生じます。具体的には次のような症状です。
・腰、下肢の疼痛や痺れ
・腰、下肢に大きな浮腫が見られる
・足があげられないほど重くなる
・関係神経の支配領域に感覚障害が起こる
・運動神経麻痺による筋力低下
・腓返りなどの痙攣を誘発
[腰椎上位椎間板ヘルニア]
上位腰椎椎間板ヘルニアの場合、腰痛や股関節痛が起こり、それ以外の場所では一般的に腰痛は起こらないとされています。
神経根走行の関係で、下位腰椎は上位腰椎に比べ、神経根症状を起こしやすい傾向にあります。
特に腰椎椎間板ヘルニアの場合、片側の下肢痛が症状として多く見られますが真後ろに突出したヘルニアの場合、両側で症状が見られることもあります。
[若年性椎間板ヘルニア]
若年性椎間板ヘルニアは、高齢者に比べて椎間板内圧が高いため、より強い症状を訴える傾向にあります。また、下肢挙上時の腰椎股関節伸展拘縮のように、該当部位の反応が強く現れることも多くなります。
[椎間板ヘルニアの原因]
①日常生活での不良動作・姿勢
・長時間に渡る中腰での作業
・腰を強く捻る
・座位中心の生活
②骨密度の低下
椎間板は20歳を過ぎた頃から、徐々に弾力性が失われていく傾向にあります。
同時に不規則な生活や偏食などにより骨密度が低下することで、少しの衝撃でも椎間板が変形しやしく、椎間板の一部が突出しやすくなります。
③遺伝的な要因
遺伝により椎骨の配列が乱れていたり、骨密度が低下していたりする場合、変形や骨折のリスクが高まります。
[椎間板ヘルニアの対処法]
①体液循環の改善
入浴やマッサージなどを行い、全身の体液循環を促進させます。
②ストレッチ
腰椎椎間板ヘルニアでは、姿勢や体動などにより椎間板への圧迫が強まると、ヘルニアが神経を圧迫して痛み・痺れを悪化させる危険性があります。特に前屈みの姿勢では、症状悪化の危険性が高くなります。
この場合、腰を反らすストレッチで椎間板の圧迫が減少され、症状を軽減することができます。腰椎椎間板ヘルニアの除圧ストレッチは、上体反らしが特に有効になります。
また骨盤周囲の筋の柔軟性の低下により腰椎や骨盤の動きに悪影響を及ぼすこともあるため、腰だけでなく下肢のストレッチも行うのが適切です。骨盤後傾筋である大臀筋・ハムストリングスは特に重点的に行うことが大切です。
③トリガーポイントの刺激
{腰痛や坐骨神経痛の原因になるトリガーポイントと対応するストレッチ}
・腰の片側が痛む場合→脊柱起立筋、腰方形筋のストレッチ
・腰の中心や骨盤周囲が痛む場合→中臀筋、大臀筋、腰方形筋のストレッチ
・腰から脚にかけて痛む場合のストレッチ→小臀筋、ハムのストレッチ
・坐骨結節を中心に膝窩にかけて痛む場合→ハムのストレッチ
④運動機能向上
発痛部位を庇う癖により、他の筋肉の柔軟性・筋力の低下や、姿勢悪化が引き起こされる場合があります。胸椎の回旋と股関節の運動機能向上は予防や改善に大きな効果を発揮します。
⑤筋力トレーニング
ストレッチだけでは除圧効果は十分とは言えないので、柔軟性確保とともに体幹トレーニングを行うことで、椎間板への圧迫が軽減されます。骨盤前傾筋である、腸腰筋・大腿四頭筋は特に重点的にトレーニングしていくことが大切です。