けいすけのフィットネスブログ

パーソナルトレーナー「けいすけ」のブログです。有益なダイエット情報を発信中

MENU

歩行を詳しく見てみよう! 〜立脚終期から遊脚終期まで〜

f:id:keisukefit:20211019154455j:plain


こんにちは!

パーソナルトレーナーのけいすけです!

 

今回は前回の記事の続きで、「歩行」についてポイント毎に詳しく見ていきましょう。

前回の記事も載せておりますので、併せてご覧くださいませ。

 

keisukefit.hatenablog.com

 

 

[立脚終期(TSt)]

ここの動作が不安定になると、脚の振り出しがスムーズにできず、安定した歩行が難しくなります。

各関節は以下のような角度を取ります

・股関節伸展→約20°

・膝関節屈曲→約5°

・足関節背屈→約10°

 

この状態は、前足部より骨盤が前方に位置するポジションとなります。この時足関節底屈筋群は弛緩しておらず、下腿三頭筋はTStにおいて、歩行周期中最大の出力を発揮します。

 

TSt時における床反力のベクトルは、MTP関節を通過し上前方へ向かう=床反力は足関節背屈の方向へ働きます。その負荷に耐えるため、下腿三頭筋が働き踵が浮いた状態を保持しています。

 

TStでは足関節背屈位のまま、MTP関節が伸展して踵が浮きます。下腿三頭筋はこの時、等尺性収縮します。股関節屈筋群は股関節伸展による伸展、足関節背屈筋群は床反力に対する等尺性収縮の状況下でPSwを迎えます。

 

 

①TStの踵離床の重要性

TSt時に踵が離床していることで、人は重心制御をスムーズに行えます。TStでは両脚が前後に大きく開き、歩行周期全体で最も重心が少なくなります。正常歩行の条件の一つに「上下左右の重心移動が非常に少ない」ことがありますが、TStでも過度な重心低下を避けるため、踵が離床している方がいいのです。

 

②踵離床不全が、対側のICに及ぼす影響

TStにおいて、足関節底屈筋が活動し、前足部のMTP関節を支点に踵側が離床します。また距骨が下腿〜大腿を長軸方向へ押し上げ、骨盤を前上方へと持ち上げます。

 

こうした抗重力伸展活動や下肢の支持活動が、脚の末梢部から起こっていると言えます。そのため足関節底屈筋の活動が少ない場合、骨盤が支持脚側に残ることになります。この状態が起こると、重心が下がりすぎてしまい、股関節伸展が不足するというデメリットが発生してしまいます。

 

また左右の重心移動は、MSt時に最大の移動が見られ、TSt後半で正中付近になります。前述の支持側の足底筋活動が不足することで、骨盤が支持側に残ったまま対側のICが始まり、重心が支持側に残るというリスクが生まれやすくなります。

 

それにより、対側のICにおいて次のようなイレギュラーが発生しやすくなります。

・MStに向け、本来より多くの労力で重心を上方+側方へ移動させないといけなくなる。

・股関節が過度に内転する

 

 

③股屈筋の短縮によるTStのイレギュラー

体幹前傾

・骨盤前傾および腰椎前傾

・股関節屈曲による膝屈曲

 

 

 

 

 

[前遊脚期(PSw)]

ここでは、対側が接地しIC〜LRのポイントへと移行します。そのため主に支持を担うのは対側下肢です。

この前遊脚期で重要になるのが、「いかに次に続く脚の振り出しにむけて、動作を加速できるのか」になります。そこで重要になるのが、TStにおける股関節屈筋群と下腿三頭筋の伸張です。

 

PSwでは、LRのポジションと取る対側下肢に重心が移動し、PSw側の下肢にかかる荷重が軽くなります。それによって、TStで伸張された股関節屈筋群・足関節底屈筋群が伸張性収縮を見せます。

 

それにより、次の2つの現象を起こして加速しながら、エネルギー効率の優れた脚の振り出しを可能とします。

・股関節屈曲→慣性により股関節が屈曲する

・足関節底屈で床を蹴り出し、下腿を前方に押し出し、それと合わせて腓腹筋が収縮→膝関節が屈曲する。

 

 

①TSt〜PSwにかけた股関節・膝関節制御

○TSt

・大腿筋膜張筋

TStにて股関節の過伸展を防ぐため、遠心性収縮をします。股関節外転作用による骨盤制御は、LR〜MStでは中臀筋、大臀筋等が働くが、TStは重心が対側へ移動し受動的な外転が起こるため、中・大臀筋の活動は弱まるが、大腿筋膜張筋の活動で十分骨盤の制御が可能になります。

 

・足関節底屈筋群

下腿の過前傾にブレーキをかけます。その状態で骨盤の前進の勢いが加わり、膝関節を支点とした大腿骨の前傾→受動的な膝関節伸展が起こります。

 

 

PSw

・大腿直筋

脚の振り出し時、TStにで伸張された股関節屈筋群の収縮により、受動的な股関節屈曲を起こします。大腿直筋はその動作をサポートしつつ、膝関節の屈曲の勢いを抑えるブレーキとしても働きます。

 

・長内転筋

この筋も、股関節をサポートします。さらには骨盤が対側下肢側に移動することで生じる股外転のモーメントに対してブレーキの役目を果たします。

 

 

 

 

 

[Sw(遊脚期)]

このポイントの目的は大きく2点あります。

・足をスムーズに前方へ運ぶ

・立脚期(IC)の準備をする

 

足を前に運ぶためには、足のクリアランスの確保が必須であり、クリアランス不足はつまずき・転倒の原因になります。

遊脚期では足関節背屈筋群が常に活動し、下腿前傾=LRまでその活動は継続しているのが特徴です。

 

 

 

 

[ISw(遊脚初期)]

ISwは、PSwで作り出した筋の伸張を活用して、振り出しの勢いをつける「加速期」と言えます。ここで股関節・膝関節のスムーズな屈曲ができることで、クリアランスの確保や筋活動を抑えた効率的な運動が獲得できます。

 

ISwでは主に次の筋が作用します。

・腸骨筋、長内転筋=股関節屈曲

・縫工筋、薄筋=股関節屈曲並びに膝関節屈曲

大腿二頭筋短頭=膝関節屈曲

・前脛骨筋、長母指伸筋、長趾伸筋=足関節背屈

 

 

 

 

 

[MSw(遊脚中期)]

MSwから膝関節伸展が開始され、歩幅が確保されます。股関節屈曲・足関節背屈が不足すると躓きやすいが、この2点が確保されていてもISw・MSwで躓く方も多くいらっしゃいます。その場合は、骨盤が遊脚側に下制していないかを確認するのがオススメです。骨盤下制で股関節の高さが下がることで、クリアランスが低下するからと言われています。

 

ISwで十分に大腿骨の運動の加速が確保できれば、股関節屈筋群に伴うエネルギーは最小限に押さえられています。またISwの股関節屈曲で生じた位置エネルギーを利用し、受動的な膝関節伸展も得られやすくなります。

 

こうした点から、各筋は次のような動きをしています。

大腿二頭筋短頭=必要に応じて膝伸展の速度を制限している

・足関節背屈筋群=足関節底屈の予防

 

 

 

 

 

[TSw(遊脚終期)]

TSwは足を振り出し、ICの準備をするところです。TSwにて足関節を背屈し、床と踵の距離=自由落下の距離を減らすことにより、ICでの接地を軽減できます。

 

こうした動作のため、TSwでは次のような筋活動が見られます。

・大腿筋膜張筋、中臀筋、大臀筋上部繊維=骨盤の安定

・大内転筋、大臀筋下部繊維=股関節伸展

ハムストリングス、大腿広筋群=膝屈筋・伸筋の同時収縮

・足関節背屈筋群=ICに備えて筋活動を高める