歩行を詳しく見てみよう! 〜初期接地から立脚中期まで〜
こんにちは!
パーソナルトレーナーのけいすけです!
今回は前回からブログにも載せている「歩行」について、ポイント毎に詳しくお伝えしていきます。
前回以降の記事も是非ご覧くださいませ。
[初期接地(IC)]
振り出した足が地面に接地することで床反力が生じ、その床反力の衝撃は足関節底、膝関節伸展、股関節屈曲にそれぞれ作用します。
床反力の衝撃をうまくコントロールできない場合、体幹が前傾し臀部が引ける、膝伸展・下腿後傾し膝が過伸展するといったイレギュラーが発生しやすくなります。
ICでは、次の筋が働き床反力の衝撃を制御します。
・股関節屈曲→ハムストリングス
・足関節背屈→前脛骨筋
大内転筋は股関節屈曲位で伸展活動に関わり、ICおよびLR、立ち上がり動作等の股関節屈曲位からの伸展活動で重要な筋でもあります。ハムストリングスに近い体積をしているので、股関節安定・調整よりも大きなパワーを発揮することに向いています。
○動作確認と対処方法
ここでは足を振り出してから接地した瞬間に、身体を支持できる状態を作るということが重要です。また下肢の抗重力伸展活動が弱く、立位などでも荷重を下肢の筋活動で支持する感覚を獲得できないといけません。
[荷重応答期(LR)]
このポイントは初期接地から立脚中期への移行で、急激に荷重が乗るポイントなので、歩行周期において最も難しい状態と言われています。
ここでは、筋活動である大臀筋、ハムストリングス、大腿四頭筋、前脛骨筋等が一瞬で起こる体重移動で瞬発的な筋収縮を発揮できるかが大切になります。
○下腿・大腿の連動
IC〜LRで非常に重要なのが、足部から下腿〜大腿の連動した動きになります。LRでは急激にかかる荷重をうまく受け止め、運動エネルギーを位置エネルギーに変換させる必要があります。
うまく機能しないと、重心があがらず骨盤が足・股関節よりも前方に移動できない、お尻が引いたまま単脚支持せざるを得ないといったイレギュラーに繋がります。
○足部と膝の関係
足接地時、荷重がかかることで踵骨が5°外反します。この動作で距骨周辺では次のような変化が起こります。
①距骨の底屈および内旋
距骨は外果・内果に挟まれています。距骨を内旋させると、下腿の内旋が起こってきます。スクリューホームムーブメントにより、下腿内旋では膝関節が屈曲しやすくなり、十字靭帯が交差し動的安定性が高まります。
②距舟関節および踵立方関節の関節軸の平行化
横足根間関節の緩みが生じ、足部の衝撃吸収が可能となります。
[立脚中期]
①MSt early
運動エネルギーが位置エネルギーに変換されます。重心を上前方へ移行するための筋活動が必要になります。
②MSt late
位置エネルギーが運動エネルギーに変換されます。下肢直立位に到達後、前に倒れる勢いだけで重心は前に移動するため、筋活動はほぼ不要になります。
ここのポイントにおいて効率的な歩行は、「なるべくスムーズに下肢直立位に到達できるか」が大きなポイントになります。MSt earlyでは、LRでの大腿広筋群の求心性収縮が持続し、下肢直立位を越えMSt lateに差しかかるタイミングでヒラメ筋が活躍します。
そしてMSt lateでは、位置エネルギーと慣性で骨盤が前進し、下腿が前傾します。ヒラメ筋は下腿の過度な前傾を防ぐため、遠心性収縮します。また中臀筋は、単脚支持であるMStにて骨盤が対側へ下制し過ぎないように働きます。腓骨筋は下腿が対側に傾き過ぎないよう、下腿を支持側方向へ引きつけるように働きます。
○MStにおける膝折れ
①MSt earlyでの膝折れ
下腿前傾から続く、大腿広筋群の収縮による大腿前傾の不足。もしくは股関節伸展筋群の不足による骨盤の後退が要因になります。
②MSt lateでの膝折れ
下腿前傾に対する、ヒラメ筋の遠心性収縮によるブレーキ作用の不足が要因です。
○安定した下肢直立位の獲得メリット
①股・膝周囲筋の活動負担が減る
MSt以降は位置エネルギーを利用した前進となるため、負担が減ると言われています。
②立位保持にも役立つ
立位では両脚支持でもあり、片足支持よりも負担が少なくなります。MStでの下肢直立位が安定することで、立位の保持に役立ちます。
③LRでの荷重・前進も安定しやすい
下肢直立位の支持に不安なくなることで、直前のLRでの動作で下肢直立位が安定することで、立位の保持に役立ちます。
○動作確認
以下の点ができるかが大切です。
・各動作が上半身を上方へ持ち上げるように作用している
・大腿骨が下腿長軸を押さえ、安定している
・立位において、大腿下腿の長軸方向に荷重がかかっている