一生歩けない身体にならないように!
こんにちは!
パーソナルトレーナーのけいすけです!
今回は身体の構造についてお話ししていこうと思います。
タイトルにもありますが、皆さんは「一生歩けない」ということを想像したことはありますか?
多くの方は普段無意識に歩行というものを行なっています。
今回はそんな歩行にも関わる膝の靭帯「前十字靭帯」について詳しく見ていきましょう。
[前十字靭帯の機能について]
①脛骨の前方変位制限
前十字靭帯は、主に脛骨の前方変位を制限します。膝関節が30°〜90°へ屈曲する時の脛骨前方の安定性の80%以上は前十字靭帯に依存するとも言われています。一方で、前十字靭帯は脛骨後方への変位には全く影響がありません。
脛骨の前方変位は、膝関節の屈曲が20°〜45°の間で最大になり、90°以上では内側側副靭帯によって脛骨の前後方向への安定性が維持される傾向があります。
②脛骨の内旋制限
前十字靭帯は脛骨の前方変位を制限しているのと同時に、内旋の制限も行なっています。
③膝関節伸展時の安定性確保
前十字靭帯の後外側線維束は、膝関節伸展時における安定性に重要な役割を果たします。一方、前内側線維束は屈曲時に膝関節を安定化させます。完全伸展時において、2本の線維束はともに伸張され緊張が生じます。これにより、膝関節伸展位における安定化構造が形成され、膝関節の過伸展を制限しています。
階段昇降時と歩行時の前十字靭帯への負荷は、階段を降りる際が一番負荷がかかりやすくなります。
[前十字靭帯の神経系]
脛骨神経から枝分かれした後部関節枝から、前十字靭帯への神経系供給されます。脛骨神経からの関節枝は、膝窩において複数に枝分かれしており、この関節枝は膝関節の関節包後部へも伸びています。
また、前十字靭帯には機械受容器が非常に発達しています。前十字靭帯の機械受容器は、滑膜のすぐ下層へ靭帯に沿って存在し、大腿骨側の付着部周辺でより発達しています。
この機会受容器は靭帯にかかる負荷を感知し、関節の安定性維持に貢献しています。前十字靭帯の損傷後の後遺症に「膝関節の不安定性」がありますが、これは靭帯の損傷に伴い機械受容器にも損傷が生じ、その機能が低下するものであると考えられています。
[前十字靭帯への血液供給]
前十字靭帯が損傷すると、しばしば膝関節の腫れを引き起こします。これは靭帯の損傷に伴う出血が原因となっています。
前十字靭帯への血液供給は以下の3構造によって行われます。
・内側膝動脈
・滑膜
・膝蓋下脂肪体
内側膝動脈は膝窩動脈の末梢にある動脈であり、膝関節の関節包後部を貫通し、血液供給もおこないます。その後滑膜の中へ入り込みます。膝関節の滑膜は前十字靭帯全体を覆いますが、内側膝動脈は後面に集中しています。
この部分にある内側膝動脈を、特に内側膝動脈の脛骨下行枝と呼ぶことがあります。脛骨下行枝は所々で枝分かれしつつ前十字靭帯へと入り込み、周辺領域に血液を供給します。内側膝動脈は前十字靭帯だけでなく、2本に枝分かれして脛骨内側顆と脛骨外側顆へ伸び、それぞれの血液供給も行います。
また、前十字靭帯は内側下膝動脈・外側下膝動脈からの血液供給も受けています。この2本は膝窩動脈から枝分かれしており、内側下膝動脈は脛骨内側顆の下を通り、内側側副靭帯に入り込みます。
外側下膝動脈は膝関節の外側ジョイントライン付近、腓骨頭近位部を通過した後に、外側側副靭帯へと伸びます。外側下膝動脈はジョイントライン周辺で外側半月へと枝分かれを起こし、その辺縁部ヘも血液供給をしています。これらの動脈は膝蓋下脂肪体において結合しています。
前十字靭帯の中心部は、その辺縁部に比較すると血液供給が乏しいと言われています。膝関節の滑膜と膝蓋下脂肪体の損傷は、前十字靭帯への血液供給に大きな影響を及ぼします。